ロモはロシア製カメラです。アナログ感覚が受けて、日本でも人気があります。そんなロモの修理を頼まれました。
修理できたらいいなぐらいの軽い気持ちで始めたら、これが大変。故障箇所を修理して、カメラを組んで完成し、調子よくシャッターが切れていたと思っていたのに、次の日には、なぜかシャッター音だけして羽根が開かない。そして、次第に深みに入って行ったのでした。やめるにやめられず、ありとあらゆる所を調べ始めました。
一週間位苦労しましたが、やっと原因を突き止め修理完成した。本当によかった。今後のために修理マニュアルも作りました。
ロモは日本のカメラを参考にして作られました。外観の操作がマニュアル式なだけでなく、内部もメカニカル機構が残っており、完全電子制御化される以前の昭和60年頃のコンパクトカメラに似ていて懐かしく感じました。
ロモが故障したら、出来れば儲けもの、出来なくてもともとぐらいの気持ちで、修理に挑戦してみるのも一つの手です。
自分が普段やっている仕事とかだと、どうしてだろうか?とか改めて深く考えたりしなくなってマンネリ化しがちです。遊びの方が夢中になったり、真剣に考えたりするってことありませんか?カメラを壊すつもりでおもちゃにして自由に楽しんでみたら、新しい発見があるかもしれません。
修理情報を提供します、たった一度だけロモを分解しただけなのに「そんな軽いんでええんかい!」ツッコミ。起こりうる故障の可能性とその対策を推測してみました。全てがあてはまるとは思いませんが、参考になればと思います。
修理は皆様個人の責任において実行してください。修理作業を試みた結果、物的または人的に、いかなる損失が生じても、当方は一切責任を負わないものといたしますので御了解ください。
(分解上の注意点)
上カバーを取り外すのには、右レザーをめくった下にビスが一本あるので注意する事。
シャッターユニットを取り外す時は、左右のレザーを剥がす事。しっかり接着剤がくっ付いているので、破かないように根気よく慎重に剥がす。指を突いてケガをしないように十分注意する事。
日本のプラスドライバーはロモに使用しているビスの規格に合わないようだ。それに加え、シャッターユニットを本体に止めている4個のビスの頭に接着剤が入り込んでいるため、滑って外しにくい。
シャッターユニットを組み立てる時、レリーズレバーが電源スイッチ(上カバーを外すと見えるスイッチ)に当たるので、所定の位置を確認しながら組み付ける事。
(不良内容)(1)シャッター音だけで開閉しない。(電源供給不良)
原因、対策、修理方法
①プラス電池接片圧が弱い→接片を起こす。
②電池液漏れで電池接片電通不良→接片の汚れを清掃。コードまで腐食している場合はコードを交換する。
③上カバーを外すと見える電源スイッチ汚れ、または接触不良。
(不良内容)(2)シャッター音だけで開閉しない。(シャッター不良)
原因、対策、修理方法
①シャッター基板の汚れと基板に接触するスイッチ接片の汚れ。
②AEマグネットゴミ、汚れで吸着せず。
③各部コードはずれか半田付け不良。
④トリガースイッチ接触不良か汚れ、またはタイミングずれ。
⑤ICなどの電子部品不良。
(不良内容)(3)シャッター音もしないし切れもしない。
原因、対策、修理方法
①シャッター錆び、汚れ、グリス不足で作動不良。
(不良内容)(4)調子よくシャッター作動していたと思ったら急に、音だけしてシャッター羽根開閉しない。置いておくとまた、調子良く作動する。これを繰り返す。
原因、対策、修理方法
①フレキシブル基板と電気基板の接触不良。→赤色塗料で塗ってあるビスを外す。反り返って本来の役目をしていないフレキ押さえを、ひっくり返して取り付けることにより接触が平均になるようにする。
(不良内容)(5)レリーズボタン深い。
原因、対策、修理方法
①上カバーを外し、レリーズボタン内のビスで調整。
(不良内容)(6)露出不良。
原因、対策、修理方法
①前カバーを外し、カメラ正面から見て、いくつか並んだボリュームの内、右端のボリュームを左回転するとオーバーになり、右回転するとアンダーになる。
(不良内容)(7)ファインダー内距離表示位置ずれ
原因、対策、修理方法
①フイルムレールの所に小さい丸いシールがあるのをはがし、奥に見えるビスを回して調整。
(不良内容)(8)フラッシュ発光不良
原因、対策、修理方法
①上カバーフラッシュ、シュー下の接片接触不良か汚れ。シャッターシンクロスイッチ接片接触不良。同調不良はシャッターシンクロスイッチのタイミングずれ。章